未使用の硯でしたが、みにすた流のチューニング(改刻・整備)した雨端硯(雨畑硯)です。
硯裏に「雨端」と彫ってあります。雨端硯本舗 雨宮弥兵衛さん(先代12代硯匠)の作硯です。

かな・画向きのチューニングをしてありますので実用としても良い硯なのですが、この硯は美術工芸品ですね。

凄い薄造りですが、作硯中にちょっとでもノミ捌きを間違えると割れてしまいかねない超高難度な作硯をされています。

形状としては、君子研という形状を発展させておられます。
川蟹が目につきますが、他の作硯も素晴らしいです。

中央部の盛り上がり、君子研だと平からそのまま落ちるのですが、縁を作って上部の池に墨液を流す作りにしています。使いやすさを考慮されたのだと思います。
さらに、盛り上がりの縁。形状に曲線とゆらぎを入れておられますが、かなり繊細な作りです。(君子研だと緩やかな円です)

で、縁から池にストンと直角に落としていますが、この直角に落とすことが非常に高い技術が必要で失敗しやすく難しいです。
それを割れやすい薄造りのこの硯で中央部に作る。うーん、どこまで技術に自信を持っていたんだろう(チャレンジだったのかな?)という作りです。

硯裏の「雨端」の文字は少し凹ませた部分に彫られています。
使っても「雨端」の消えることがないです。サポート的な意味合いと作硯の自信を表わします。

ただ硯裏を凹ませるだけではなく、中央部にポチを入れています。
単純に凹ませるのではなく、薄造りなので、そこを支点にして使う際の強度を保つ意味合いがあったのだと思います。
この作りは私もこの硯で初めてみました。薄造りの工夫だと思います。

硯全体の縁の薄い盛り上げ。
粘板岩系の石では非常に高難度な造りです。
薄い板が重なっている状態で薄く斜めに削る。普通は板の層が邪魔をして、綺麗には削れないです。

硯の表から裏まで、高度に緊張感のある意識が通っていない所がない。
それでいて、なんとなく海や川を意識させる、穏やかで優しい印象を受ける硯。
雨宮弥兵衛さんのお人柄が伺える硯です。

サイズ:12.8×9.2×0.8cm
重量:176g

#みにすた硯(感動硯)
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