#木版古今和歌集

江戸時代の木版の古今和歌集です。
夏の歌について書かれております。

旧所蔵者は仙台藩・伊達家と仙台藩医の大槻玄沢です。(この古今和歌集の仮名序には仙台藩伊達家の家紋(竹に雀)が押印されていました。伊達家からその後仙台藩医の大槻玄沢に渡ったようです。)

額縁は、濃い茶色、木製、アクリルガラスです。額縁には小さな傷がある場合がございます。また、原本は虫食いや焼け等がありますので、ご理解いただける方にお願いいたします。


<旧蔵者・大槻玄沢について>
宝暦7年9月28日生まれ。一関藩医・建部清庵に医学を、江戸で杉田玄白、前野良沢に蘭学をまなぶ。長崎に遊学後、天明6年江戸で仙台藩医となり、京橋に日本最初の蘭学塾「芝蘭堂(しらんどう)」をひらく。文政10年3月30日死去。71歳。


<サイズ>
[額縁]縦35.4㎝、横26.6㎝
[原本]縦26.4㎝、横18.2㎝

<読み下し文>
題しらず  読人しらず
我やどの池の藤なみさきにけり山郭公(やまほととぎす)いつかき(来)な(鳴)かん(国歌大観番号135)
 このうた(歌)ある人のいはく、かきのもとの人まろ(柿本人麻呂)か(歌)也(なり)

うつき(卯月)にさ(咲)けるさくら(桜)をみ(見)てよめる  紀としさた(利貞)
哀(あはれ)てふことをあまたにやらじとや春にをくれてひとりさ(咲)くらん(国歌大観番号136)

題しらず  よみ(読)人しらず
さつき(五月)まつ山時鳥(やまほととぎす)うちはぶきいま(今)もな(鳴)かなんこそ(去年)のふるこゑ(国歌大観番号137)

<現代語訳>
題知らず  読人知らず
わが家の庭先の池のほとりの藤の花がみごとに咲いた。山ほととぎすはいつここに来て鳴いてくれるだろうか。(国歌大観番号135)
この歌はある人のいうことでは柿本人麻呂の作である。

四月になってから咲いた桜の花を見て詠んだ歌 紀利貞
見る人の「これはすばらしい」という褒め言葉をほかの花にやるまいとて、この桜は春が行ったあとで、ひとつだけ時節遅れに咲いているのではなかろうか。(国歌大観番号136)

題知らず  読人知らず
五月をおのが季節として待っているほととぎすよ。今すぐにでも翼を羽ばたいて鳴いてくれないか。去年の古い声でいいから。(国歌大観番号137)