●製作年:1795-97年頃
●素地:ソフトペースト(軟質磁器)
●サイズ
W:6.5cm
H:7cm

★マイカップコレクションより

装飾:Louise-ThérèseMlleParpette
→1788,1794-1825年まで花絵付師として在籍


持ち手が特徴的な”ボワゾ”というカップ。
フランス革命期に生み出されてわずか数年間しか作られることはありませんでした。この手のタイプはカップのみ、あるいはソーサー付きの場合と2パターンあったようです。そもそも残されている数が少ないですが、このボワゾカップのみでトロフィーの装飾やカマイユ、風景など独特の凝った装飾の作品はセーブル国立陶磁器美術館に所蔵されています。基本的に描かれているものはちょっと手の込んだものが多かったようです。

今回の作品もそうです。本来金彩で閉じ込めるポーブルーの滲みを上手く生かして、逆に金彩を閉じ込めたり、ぼかしをデザインとして利用する今までにない技法が用いられています。また口元ボーダーは薄いペールイエローで色付けされています。お気づきでしょうか?またピンクや黄色のバラの装飾、そしてローリエボーダーも描かれていますが通常よりもかなり小さい縮尺で表現するところも珍しいです。ルーペなどでは普段あまり見ませんが、とても気になり細部までいつも見てしまいます。このフォームの特徴の持ち手裏にも小さなバラが展開しています…どうやって描いたのでしょうか。。

競合の他の窯とは明らかに差別化を狙い、新たな技術がつぎ込まれており、19世紀へ向けて着実にレベルアップを図るセーブルの神髄を手に取って楽しめるかと思います。使用された形跡も殆ど無く、カケワレの無い素晴らしいコンディションです。

カップのみの作品も魅力的なものが多く、コレクションしてまいりましたが、気づけば数が増えてしまいました。その一部を「マイカップコレクション」として時折お出ししていきます。是非ご期待ください。